親子2代で作るオーセンティックなワイン
ベンハルト・フーバー醸造所

ドイツワイン=甘口を覆す
世界を驚愕させたピノ・ノワール

ブルゴーニュと同じ条件を持つ
マルターディンゲン村
同醸造所のある村、マルターディンゲンにはゲルマンの地に布教に来た修道士によって700年も前にピノ・ノワールが植えられており、名産地として名を馳せていました。その理由はシャンボール・ミュジニーの風景や土壌とマルターディンゲン村のそれが酷似していたこと。貝殻石灰岩の風化土壌で大昔は海辺だったマルターディンゲン村は、少し掘り起こすと独特の色合いの土壌が露出し、高品質なワインに欠かせない複雑味をもたらしてくれます。その質の高さから、この地で栽培されたピノ・ノワールは「マルターディンガー」と呼ばれていたそうです。(ワインの辞典にはピノ・ノワールの同義語として「マルターディンガー」が記載されています)その後戦争によって砂糖が足りなくなり甘口の白ワインが好まれるようになりました。そのため戦後には「ドイツと言えば甘口の白ワイン」という印象になってしまいましたが、マルターディンゲンの歴史を知った先代のベルンハルト・フーバーさんは高品質なピノ・ノワールのワインを造ることに情熱を燃やします。

情熱を注ぎ進化を続ける
現当主ユリアン・フーバーさん
残念ながら、ベルンハルトさんはご病気のため2014年に55歳の若さでお亡くなりになりました。ご子息のユリアンさんは当時20代前半。しかしユリアンさんはベルンハルトさんの遺志を継ぐべく、そして更に品質を上げようと様々な試みを行いながらブドウ栽培とワイン醸造を続け品質を落とすことはありませんでした。ある年の事、ベルンハルトさんの時は、赤も白もしっかりと樽の風味を生かした飲みごたえのあるワインだったのですが、ユリアンさんの白ワインは樽は使いはするもののその風味は控えめ、冷涼地ワインの魅力の1つである、酸とエレガントな果実味を前面に出したものが出来上がりました。このワイン自体はとても素晴らしく心から美味しいと思うものでしたが、ユリアンさんからすると、お父さんが作り上げてきたものを変更するというのは恐らく沢山の葛藤があったと思います。それでも、自分がより良いと思ったことを圧倒的な品質で形にした現当主。これからのワイン造りからも目が話せない醸造所となりました。